社会調査士をめざす学生の声!
みなさんの学習の参考にしてください

「グループで議論しながら作り上げていくスキル」は「成果」と相関する!

聞き手:京都ノートルダム女子大学現代人間学部心理学科 教授 松島るみ

 京都ノートルダム女子大学現代人間学部心理学科は「心理カウンセリングコース」と「社会・ビジネス心理コース」の2コースから構成されますが、「社会・ビジネス心理コース」では、人の行動や心理を学び、ビジネスに生かせる情報収集力、分析力、プレゼンテーション力を実践的に身につけることを目指しています。「社会・ビジネス心理コース」は、社会心理学や消費者心理学に関心を持つ学生が多く、公共機関や地元企業と連携した演習授業や3年次の「心理学演習」(社会調査士 G科目)等を通し、社会人に必要な問題解決能力を培うとともに、社会調査士資格取得へのモチベーションを高めているようです。
 本学では2013年度入学生(当時は心理学部心理学科現代心理専攻)より社会調査士資格が取得できるようになりました。現在、心理学科の定員は100名ですが、そのうち「社会・ビジネス心理コース」を選択する学生は3~4割です。当初、資格を取得する者は10名前後でしたが、年々取得希望者が増えており、2022年度卒業生は20名前後が申請予定で、今年度のキャンディデイト取得者は35名でした。
 今回は、「心理学演習」で調査研究を終えた3年生の二人(中村綾音さん、田之上香名さん)、そして心理学演習の指導教員である尾崎仁美教授とともにZoomでの座談会を行いました。

Q1.心理学科に入学するきっかけと、「社会・ビジネス心理コース」を選択した理由を教えてください。

Zoom座談会の様子

中村

心理学科に入学したきっかけは、もともと「心理学」がどういうものか興味があったからです。コースについては、社会心理学に関心があったことと、地元企業と連携している演習授業に参加したかったからです。

田之上

心理学科に入学しようと思ったのは、自分に自信を持つことが出来る方法や人に良い印象を与えるための方法に興味があったからです。また、社会調査士は在学中に定められた授業に参加し、単位を修得することで得られるため取得したいと思っていましたが、入学当初は、数字を扱わないといけない難しそうな資格なのかなというイメージがありました。

Q2.社会調査士の取得を目指そうとしたきっかけは何ですか?

中村

当初は、社会調査士の資格自体に関心があったわけではないのですが、心理学科で取得できる資格の一つであり、また就活に活かせるかなという思いがありました。実際、2年次の「推測統計学」の授業では、どのくらいのデータ数を収集すると信用できる情報となるのかを学び、将来、企業でデータを収集するような部署に配属された際に役立つのではないかなと思いました。

田之上

私が入学したのは2020年4月で、大学にも通えず、部活も出来ず、ひたすらオンライン授業をこなす日々でした。そのような中で、何か学習の成果となることを残したいなという思いがあり、社会調査士の資格を取得したいと思いました。また、現在は、情報化社会で、色々なデータを目にする機会が増えているため、データを批判的に見る力、例えば、データのどこに注目してみたら良いのかを判断する力も養いたいと考えました。

Q3.社会調査士関連の授業を履修して印象に残っていること、履修して良かったことや大変だったことはどんなことですか?

中村

もともとは数字を扱うのが得意な方ではなかったので、「推測統計学」の授業が大変でした。テストも持ち込みなしだったこともあり、とても頑張った記憶があります。難しかった授業ですが、しっかり取り組むことが出来たので、今は頑張って良かったなと思います。

田之上

「心理学統計法Ⅰ」はコロナ禍であったため、オンラインで取り組みました。統計は、高校の時のノートも引っ張り出しながら頑張って取り組んでいたことを思い出します。また、「現代社会調査入門」では、調査実施における倫理的な側面や、調査を行う際の「ワーディング」について勉強したことが印象に残っています。自分が調査を受ける時には、ワーディングのことはあまり意識していなかったのですが、作り手側はこれほど意識しないといけないことが多いのか、ということが初めてわかりました。

Q4.3年生の「心理学演習(社会調査士G科目)」での調査実習はどのようなことをしましたか?また、どのような力が身についたと思いますか?

2022年度 「心理学演習」(社会調査ゼミ)での発表の様子

中村

私たちは、大学生を対象に「自己肯定感と褒められることの関係性」に焦点を当てて調査研究を行いました。データを多く集めることや調査項目を収集することに苦労しましたが、適切な文献を検索する力が身に付いた他、研究を進めるうえで、どういうことが出来ていないかを客観的に捉えたり、調査研究のグループメンバーがどういうことに困っているのか、ということに気づけるようになったと思います。

田之上

質問紙を作った時に、調査項目のアイディアがたくさん出てきたのですが、項目を増やし過ぎると調査対象者を混乱させるのではないかと思い、他のメンバー等と議論し合いながら決定しました。その際に、グループ研究のメリットを感じましたし、グループで協力する力がついたと思います。グループで意見交換をし合うことは大事ですし、時には妥協したり、折り合いをつけるという力も大事だなと思いました。また、グループではとても意見が言いやすい環境を作れていて、気軽に自分の意見を言いながら研究を積み重ねていくことが出来たのはとてもよかったと思います。

Q5.これまで学んだ社会調査系の授業はどのように、今後のキャリアや就職に活かせると思いますか?

中村

ゼミで何かを議論しながら何かを作りあげていくということは、今後とても必要な力だと思います。これまでの授業では良い体験が出来ているので、今後につながると思っています。また、データ分析をしたり、専用ソフトを扱うことも社会に出た後に活かせるかなと考えています。データを扱うことは苦手意識がありましたが、今は「面白い」と感じることが出来つつあります。今後はより、自分自身の力で、自由自在にデータを扱っていけるようになりたいと思っています。

田之上

「情報リテラシー」は今後に活かせると思っています。また、調査系授業以外でも、心理テストの授業で分析力や考察する力について、担当教員に評価してもらったことがあります。このため、社会に出てからも、データを見て解釈をしたり、考察をしたりする力を生かしたいと思っています。

Q6.今後、社会調査関係の授業がもっとこうなれば良いのでは、と思うことがあれば教えて下さい。

中村

自分たちの時はオンライン授業が中心だったので、必ずしも他者と議論するような機会が多かったとはいえず、自分だけで考えたりすることも多かったです。授業では、より人と関わる機会があると良いと思います。

田之上

調査演習等、実践的な授業を行う際に、過去の授業で学んだこと(特に、ワーディングの方法や倫理的なこと)を授業で振り返るような機会がもっとあれば良いと思います。

Q7.最後に、社会調査士取得を考えている後輩(高校生や在学生)に向けて伝えたいメッセージがあればお願いします。

中村

2年生の時に、産学連携授業を履修し、グループ内で自分がどういう取り組み方をするタイプなのかということを見つめ直すことができました。また、グループで研究を進めることは大事だということにも気づくことができました。この気づき(例えば、どういう時にどのような役割を担えば良いか等)が、3年生の調査研究で活かすことが出来たと思います。このため、社会・ビジネス心理コースの産学連携授業等、グループワークの授業に是非参加して欲しいと思います。

田之上

やはり個人の能動的な姿勢が欠かせないなと思います。また、「質問紙調査法」という授業では、質問紙を作る際にどうしていけば良いのか、自分で考える機会が多くあり、常にどうすれば良い質問紙・良い研究になるか、アンテナを張っていたように思います。また、日常生活でデータに触れる機会を持つことは大事だと感じています。

尾崎教授

中村さんや田之上さんのグループでは、グループワークがうまく進められていたようですが、グループ研究をうまく進めるコツはありますか?

中村

自分がグループの役割で担当したい部分を積極的に言ったり、「どの部分を担当したい?」とメンバーに聞きながら進めたのは良かったと思います。また、自分がどの作業をすれば良いかわからなくなってしまった時も、「今、どこを担当したら良い?」と聞いたりしていました。このように、密にコミュニケーションをとり、また時にはメンバーの特性や適性等を考えながら研究を進めたことが良かったのではないかと思います。

田之上

コミュニケーションの他に、みんなが同時に、効率的に作業をしやすい体制や環境を作るという工夫を積極的にできた点も良かったと思います。


また、インタビューに参加出来なかった学生(心理学科3年生 今田志穂さん)からの声もお届けします。

社会調査士の取得を目指そうとしたのは、私自身、商品企画やマーケティングの仕事に興味を持っており、将来働く上で資格を持っていると有利であるなと感じたとともに、将来の自分の為になると思ったからです。

社会調査士関連の授業は、正直全ての授業が「楽しかった!」とは言えません。難しい問題も沢山ありましたし、特に、統計ソフトSPSSを用いた分析の授業は難しかったです。ですが、全ての授業において履修して良かったと心から思えます。分からない時は先生方が親身になって教えてくださって、友達も一緒だったので時には友達と協力をして、大学の授業って感じがしてとても良かったです。また沢山の知識が身についたので履修して良かったと思います。また、今後、学びの証として、履歴書の取得資格の一つとなりますので、間違いなくプラスにはなっていると思います。

将来、企画やマーケティングの職業の就きたいと思っている私にとって、社会調査系の授業で、沢山のことを教えていただいて、自分の知識として残っているので、将来働く上で0(ゼロ)からではなく、少しでも知識を得ている状態で働かせていただけることになるので、きっと自分自身のキャリアに活かせると思っています。

「社会調査士って何?将来その資格を持っていて何かプラスになるの?」と思っている後輩の皆さんには次のように伝えたいです。「資格は持っていて損はないです。特に私のように将来企画やマーケティングの職に就きたいと思っている方は、必ず取得を目指して頑張ってほしいです。最初は授業が難しいなと感じることもあるかもしれませんが、必ず分からないところは先生方が教えてくださるので、諦めないで最後まで頑張ってくださいね。頑張ったその先の未来はきっと明るいですよ(^^)」

  • 2023年3月27日UP