活躍する社会調査士
現役社会人として活躍する先輩からのメッセージです

有元渓佳(社会調査士)
2017年3月、山口大学 人文学部 人文社会学科卒業(社会学専攻)
津山市役所高齢介護課勤務

※所属は『社会と調査』掲載時のものです。

市民とのかかわりが 社会調査につながる

私は大学時代から「まちづくり」に興味をもち、社会学を専攻しました。その過程で社会調査と出会い、数字としてみる統計的な調査や、フィールドワークを通じて一人ひとりのあり様を調査する中でそれぞれの調査方法に特性があり、多様に社会で活用されていることを知りました。そして興味のあったまちづくりに携わり、調査を重ねる中で培った“様々な観点からものを見る力”を活かせる職場として市役所を選びました。

役所に就職しはじめは、公的機関という立場柄、おもに数字の大小をみる統計的な調査を政策等に反映し、市民生活に影響を及ぼすことが役所の仕事のあり方だと思っていました。しかし、入庁し実際の業務に携わってみると、職員は思っていたよりも市民に近いところで活動していることに気づきました。一人ひとりの話を聞き、一緒に考え、問題等を解決しようとする姿が多く見られました。もちろん市の舵取りである計画や方針は大規模なアンケート調査や蓄積された実数データがその根拠として活用され、長期的に市民の生活に大きく影響を及ぼしていると思います。

しかし職場で関わる市民の方がたはまさに今、何かしらの困難な状況にあったり、データには反映されない複雑な事情を抱えてこられる方が多く、お話を聞くたびに今の制度や社会の状況に不足や矛盾があることを痛感してしまいます。そのときに私は市民との直接的なかかわりは社会的マイノリティやデータでは拾い難い複雑な人の事情を汲取る、重要な社会調査につながると感じたのです。市民の心が満たされている場合、その声はなかなか届きません。何か不満や不安、足りないところがあるからこそ、自発的な市民の声が聞こえてくるのです。それらを単なるクレームや愚痴として切り捨ててしまうのはもったいないことだと思います。たとえ無理難題だと思われるようなことでも現状に不足を感じている市民がいることに変わりはありません。それを改善することができればまた一つ市民が快い生活を送れるまちに近づくと思います。

社会調査は良いことも悪いことも、ありのままの現状を把握し、次に改善や発展していくための大切な下積みになります。ここをおろそかにしては「良い方向に確実 に一歩進んだ」と自信をもって言えなくなります。だから私は市民から寄せられる意見が良いものでも悪いものでもきちんと受け止め、また正確な状況の把握に努め、そういった情報が活かせる時が来るまで大切に蓄積していきたいと思います。

蓄積された情報をもとに、人の作り出す流動的な社会にモニタリングとアセスメントを繰り返し、一人でも多くの人の望みに適ったまちづくりをしていきたいと思います。
(※『社会と調査』21号(2018年3月)より転載)

  • 2020年10月7日UP

機関誌 「社会と調査」に掲載された諸先輩一覧

   
社会と調査 タイトル 資格 卒業大学/
修了大学院など
掲載時の勤務先
25号 情報を必要としている人に、適切な情報を 専門社会調査士 東北大学文学部人文 社会学科国文学研究室
お茶の水女子大学大 学院人間文化創成科学研究科ジェンダー社会科学専攻
国立女性教育会館勤務
25号 社会調査で学んだ「生の声」の大切さ 社会調査士 四国学院大学 株式会社高知銀行
24号 令和に求められる訪問調査 専門社会調査士 中央大学理工学部卒業 一般社団法人新情報センター
24号 地域の課題に取り組むことのやりがい 社会調査士 金沢大学人間社会学 域人文学類社会学研究室 Next Commons Lab 南相馬勤務
23号 一つひとつの図版の先に 専門社会調査士 京都大学大学院文学研究科社会学専攻修了 株式会社帝国書院勤務
23号 調査会社のアナリストとして 社会調査士 東北大学大学院文学研究科 人間科学専攻行動科学専攻分野修了 株式会社H.M.マーケティング・リサーチデータドリブン推進部
22号 嗜好品という新たな分野を開拓する社会調査 専門社会調査士 大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程単位取得 公益財団法人たばこ総合研究センター
22号 システムサービスを通して社会に新しい価値を提供する 社会調査士 関西学院大学社会学部卒業 株式会社大和総研
21号 社会福祉士に
必要な社会調査能力
専門社会調査士 九州大学大学院人間環境学府
人間共生システム専攻共生社会学コース
別府大学文学部人間関係学科
21号 市民とのかかわりが
社会調査につながる
社会調査士 山口大学人文学部
人文社会学科
津山市役所高齢介護課
20号 感謝と視野を広く深く 専門社会調査士 関西大学大学院
総合情報学研究科社会情報学
独立行政法人統計センター
20号 電話調査のプロとして 社会調査士 千葉大学文学部 りらいあコミュニケーションズ
19号 ワクワク感が原点
クライアントとの共感を目指して
専門社会調査士 武蔵大学大学院
人文科学研究科社会学専攻
サーベイリサーチ センター
19号 企業活動における
調査の責任とやりがい
社会調査士 武蔵大学社会学部卒業
文学研究科
帝国データバンク
18号 回答者を意識した調査票作成の重要性 専門社会調査士 早稲田大学大学院文学研究科
人文科学専攻社会学コース
日経リサーチ
18号 情報収集と分析・立案活動の活きた実践 社会調査士 立命館大学産業社会学部 日立ドキュメントソリューションズ
17号 一人ひとりの声を「世論」に 専門社会調査士 上智大学外国語学部
ポルトガル語学科
日本リサーチセンター
17号 行政職に求められる視点 社会調査士 東北大学教育学部
教育科学学科
新宿区役所
16号 よりよい社会をつくるための社会調査 社会調査士 京都大学大学院
農学研究科
パシフィック コンサルタンツ
16号 ITプロジェクトで活きる社会調査の手法 専門社会調査士 奈良女子大学大学院
人間文化研究科
エル・ティー・エス
15号 準備過程の充実を図る 社会調査士 関西大学総合情報学部
総合情報学科
高槻市役所
15号 社会調査と「今」の私 -仕事と就職活動を振り返って 専門社会調査士 九州大学大学院
人間環境学府
ケンコーコム
14号 よりよい教育施策の実現のために 社会調査士 東京大学教育学部
総合教育科学科
文部科学省
14号 CAPIが導く社会調査の新時代 専門社会調査士 大阪大学大学院
人間科学研究科
エムエスハッカーズ
13号 社会調査から営業マンへ 社会調査士 桃山学院大学社会学部
社会学科
金沢ケーブルテレビ ネット
13号 行政と社会調査 専門社会調査士 関西学院大学大学院
社会学研究科
大阪府庁
12号 課題探しを繰り返す 社会調査士 東京都立大学人文学部
社会学科
練馬区役所
12号 「調査への情熱」を伝えたい 専門社会調査士 首都大学東京大学院
社会科学研究科
中央調査社
11号 この国に必要な教育施策のあり方を
考えるために
社会調査士 東京大学教育学部
総合教育学科
文部科学省
11号 調査を使って社会や組織を動かす 専門社会調査士 大阪大学大学院
人間科学研究科
大阪経済大学
10号 “社会調査的視点”を胸に
-社会調査士から得たもの
社会調査士 立命館大学
産業社会学部
立命館大学
10号 児童福祉の現場と社会調査士の力 専門社会調査士 立命館大学大学院
社会学研究科
迦陵園
9号 学生時代にじっくり調査に取り組むことで学んだ
データとの向き合い方
社会調査士 東京大学大学院
教育学研究科
ベネッセコーポレーション
9号 パネル調査の実施に携わって 専門社会調査士 早稲田大学
政治経済学部政治学科
中央調査社
8号 初心を忘れず 社会調査士 信州大学人文学部
社会学専攻
箕輪町役場
8号 インターネット調査と
リサーチ・リテラシー
専門社会調査士 信州大学大学院
人文科学研究科
信州大学
7号 社会調査士資格のための学びを 実務に生かす 社会調査士 中京大学社会学部 北陸銀行
7号 社会調査と心理学的「調査」 専門社会調査士 東京教育大学大学院 中京大学
6号 社会とかかわる魅力 社会調査士 東北大学文学部
社会学専攻
岩手日報社
6号 アンケートでもとって 専門社会調査士 岐阜大学大学院 静岡大学
5号 データの大切さ 社会調査士 九州大学文学部 日経リサーチ
5号 社会調査と社会福祉(学) 専門社会調査士 九州大学大学院
人間環境学府
長崎国際大学
4号 異なる分野でも生かせる社会調査の経験 社会調査士 大阪大学大学院
人間科学研究科
西日本高速道路
4号 仕事の「現場」を伝えたい!
-フィールドワーカーの視点に学ぶ-
専門社会調査士 大阪大学大学院
人間科学研究科
西日本旅客鉄道
3号 広告も、社会調査も、仮説が大事でした 社会調査士 成蹊大学文学部
現代社会学科
博報堂
3号 イチローも気にする視聴率というもの 専門社会調査士 東京女子大学大学院
現代文化研究科
ビデオリサーチ
2号 人や組織の意思決定に
役立つ情報を提供する仕事
社会調査士 千葉大学文学部
行動科学科
インテージ
2号 質的調査のフィールド&ワールド 専門社会調査士 東京都立大学大学院
社会科学研究科
武蔵大学
創刊号 雑誌づくりに生かす社会調査「力」 社会調査士 日本大学文理学部
社会学科
芸文社
創刊号 高等学校での調査教育の実践 専門社会調査士 関西学院大学大学院
社会学研究科
瀧川学園