活躍する社会調査士
現役社会人として活躍する先輩からのメッセージです

越前貴史(社会調査士)
2009年3月、関西学院大学 社会学部卒業
株式会社大和総研勤務

※所属は『社会と調査』掲載時のものです。

システムサービスを通して社会に新しい価値を提供する

大学卒業後、2009年4月に株式会社大和総研に入社して以来10年間、一般企業向けアプリケーションを開発するシステムエンジニア(以下、SE)として働いてきた。

最初に配属された部署では、大手通信会社の携帯電話・固定電話の利用料金請求処理システムやポイント管理システムの開発業務を担当した。その後、証券会社向けシステム開発を行う部署に異動し、NISA(少額投資非課税制度)やマイナンバー制度の導入といった、新たな制度導入に関するプロジェクトを担当してきた。

SEに求められる役割の一つは、お客様の真のニーズを引き出すことであると考えている。特に新しい制度に関わる案件では、お客様の業務に関連する仕組みを、ゼロから作り上げることも少なくない。お客様自身も「あるべき姿」がわからないまま、システム要件を提示せざるをえない状況はよくあることだ。

お客様の要求通りにシステムを作り上げることが、SEとしての基本である。お客様の目線に立ち、システム完成後の業務フローまで含めて想像することで、お客様自身も気付いていなかった真のニーズに応えるシステムを提供できると、業務をとおして学ぶことができた。

大学では、社会調査や環境社会学、社会心理学などの様々な観点から社会学を学んできた。所属ゼミでの活動では社会調査を実践し、計量テキスト分析の手法を学んだ。社会調査の経験から「あるべき姿」と「現実」との差異について調査・分析・考察することに強い興味関心を持った。その影響もあり、就職活動では、社会調査・リサーチに関する企業を軸に企業選びを進めた。

ところが、様々な企業を調べていくなかで、調査・分析することだけでは、本質的な問題解決に至らないことに気づく。システムサービスを提供することで、「あるべき姿」の実現に加え、新しい価値の創造までも可能とする、IT業界へ強い魅力を感じ、当社への入社を決めた。

以降、お客様のニーズを引き出すためのヒアリングをとおして、社会調査の経験を活かせていると感じている。

SEとして10年、システム構築・保守運用やプロジェクトマネジメントのスキルを磨いてきた。今後のキャリアステップとしては、自身のスキルの幅を広げるべく、大学で学んだ計量テキスト分析を活かした分野へのチャレンジを考えている。

大和総研にはFinTechやビッグデータを扱う専門部署があり、様々な調査やデータ分析の手法を活用したITソリューションを創出する仕事も多く手がけている。例えば、AI技術の活用により、四半期ごとに算出・公表する「大和地域A(I 地域愛)インデックス」を用いて、各地域に根ざす金融機関や事業会社の経営に資するサービスや情報を提供している。人々の生活が少しでも「あるべき姿」に近づくことができるように、システムサービスを通して、今後も社会の発展に貢献していきたい。
(※『社会と調査』22号(2019年3月)より転載)

  • 2021年4月14日UP