神奈川県川崎市様

[経緯]
市役所全体の調査業務の仕組みについて、既存の業務内容の質的向上を目指した支援の要請(2018年)があった。アンケート調査の質的向上を目的とし、川崎市と共同で、アドバイザー支援のモデル案を検討し「川崎市アンケート調査支援モデル事業」を立案した。このモデル事業で「調査設計段階」「調査票作成段階」「分析段階」でのアドバイスの内容が検討され、2019年5月20日に川崎市長と社会調査協会理事長との間で契約書が交わされて、アドバイザー調査支援事業が始動した。

2019年度以降、次の支援事業を行っている。

[支援事業]
① 「研修プログラム」:担当者研修(2019年度~現在)

「アンケート調査実務者研修」として、当該年度にアンケート調査を実施予定の職員を対象とする4時間の研修を毎年5月ごろに実施している。内容は「問題意識と問題提起」「調査計画づくりのイロハ」「アンケート調査の基本スキル(講義・調査票改善グループワーク)」「結果分析・活用方法」「調査会社との付き合い方、まとめ、Q&A」の5部構成で実践的な内容となっている。

②「かわさき市民アンケート」調査支援(2019年度~現在)

川崎市が市民を対象に年2回実施している「かわさき市民アンケート」について、調査票作成過程で調査票案に対するコメントや注意点などを中心に専門的アドバイスを実施。

③「各局が実施するアンケート調査支援(局単独支援)」(2019年度~現在)

市の特定の部署が行うアンケートについて、調査の設計から調査報告書の作成までのアンケート調査業務全般へのアドバイス実施。

  • 「川崎市立図書館利用者アンケート調査」(2019年度)
  • 「川崎市子ども・若者調査」(2020年度)
  • 「多摩川丸子橋周辺河川敷の新たな利活用に向けた社会実験に関するアンケート調査」(2021年度)
  • 「川崎市都市イメージ調査」(2022年度)
  • 「川崎市子どもの権利に関する実態・意識調査」(2023, 2024年度)
  • 「川崎市上下水道市民意識調査」(2023, 2024年度)

既存調査への追加支援や新たな調査への個別のアドバイス支援も実施している。

  • 「川崎市子ども・若者調査」のデータ分析支援(2021年度)
  • 「川崎市上下水道市民意識調査」のデータ分析支援(2024年度)
  • (新規の)「川崎市子ども・若者調査」の調査票作成支援(2024年度)

東京都足立区様

[経緯]
「足立区基本構想」に基づいて制定された「足立区基本計画」の施策群の一つとして「区民が生涯にわたって学習・文化・スポーツ活動を実践できる仕組みをつくる」ことが謳われ、「文化・芸術」「読書」「スポーツ」の3分野を連携した「3分野連携推進事業」が策定された。本委員会の委員が生涯学習政策および教育に関する各種調査の専門家として、本事業の企画段階から企画立案、調査への助言および支援等に携わり、その中でいくつかのヒアリングやアンケートの実施と分析にも関与してきた。その後、アンケート等の結果分析等の業務量が増加したことに伴い、2020年1月からは3分野事業への支援は社会調査協会の委託業務(もう一人の委員とで担当)として引き継がれることとなった。
[支援事業]
「足立区基本構想」で謳われた「区民が生涯にわたって学習・文化・スポーツ活動を実践できる仕組みをつくる」という施策に基づき、「文化・芸術」「読書」「スポーツ」の3分野を有機的に連携させる事業を推進するために行う、区民アンケートに際し、調査方法の決定、サンプリングの方法、調査内容の決定とワーディング、集計と分析の方法、分析結果の読み方、等についてアドバイスを実施した。

また、アンケート結果を踏まえて、区民や各種団体へのヒアリング調査にも関与した。

これらの成果として、区民が短時間で参加でき、継続的な事業への参加のきっかけとなるような3分野(文化芸術・読書・スポーツ)ごとの「ちょいプログラム」を企画・策定し、その実施の過程での中間評価に関わるアンケートの実施と結果の分析について支援している(2019年~現在)。

一般社団法人日本介護支援専門員協会様

[経緯]
シンクタンク(調査部門)設立に向けて社会調査協会へアドバイス支援の要請(2021年)

  • ① シンクタンク開設に関する全体的なアドバイス
  • ② 介護支援専門員処遇状況や現状及び課題把握についてのアンケート調査へのアドバイス
  • ③ モニターアンケート調査のアドバイス
[支援事業]
当委員会で担当者を決め、①については、社会調査論の観点から適宜アドバイスを行った。②と③についても、社会調査の基礎論から調査実施・分析までの、各段階でアドバイスを行い、ケアマネジャーや自治体に対する調査で回収率の向上がみられた(2022年度)。

2023年度には、「主任介護支援専門員・介護支援専門員の実態及び確保に関する調査」実施にあたり、前年度同様に、調査の企画から実施・分析までの各段階でアドバイスを実施した。

2年間の支援により、調査のノウハウが蓄積されてきたと協会内でも高く評価されているとのこと。

2024年度も同様に、量的調査の支援と、「ケアマネジャーの仕事上のやりがいや、やっていて良かったと思えるような体験を、質的調査によって明らかにして、最終的には事例集のようなものを作りたい」との目的を実現するための支援を実施している。