社会調査士資格の認定

社会調査協会では、社会調査に関する教育の水準向上をはかり、また実社会で営まれている社会調査の質を確保して社会的信頼を確立することをめざして、学部生のための「社会調査士」と大学院生および研究者、実務家のための「専門社会調査士」という二つの資格を認定しています。

社会調査士の資格は、大学の学部課程において社会調査に関する基礎的な知識と技能の教育を受け、調査の企画から報告書の作成までの相応の応用力と分析力および倫理観を身につけた人が、社会調査協会に資格を申請して所定の審査を経て認定されます。この資格を申請するためには、学部教育において、社会調査協会の「社会調査士標準カリキュラム」に準拠する科目群を履修することが必要です。

専門社会調査士は、多様な調査方法を用いた企画能力、実際の調査を運営管理する能力、高度な分析手法による研究論文や報告書の執筆など、高度な調査能力を身につけたプロの社会調査士を意味しています。この資格は二つの方法で取得することができます。第一は、大学院の修士課程において「専門社会調査士標準カリキュラム」に準拠する科目群を履修し、かつ社会調査を用いた研究論文を執筆することです。第二の方法では、修士課程等を終えてすでに教育、研究あるいは実務において専門的に社会調査に関わる実績を有する人が、研究論文執筆や教育歴あるいは社会調査歴など所定の条件を満たすことを示す申請書類を提出し、所定の審査に合格することで認定されます。

この二つの方法は、前者を「専門社会調査士(正規)」、後者を「専門社会調査士(8条規定)」として区別することもあります。

社会調査士資格制度への参加を希望する大学の教育組織(大学、学部、学科など)は、まず社会調査協会との連絡を担当する連絡責任者(常勤の教員)を決めてください。連絡責任者には、当協会と密接に連絡を取りながら、当該教育組織の「科目申請」と「資格申請」とのとりまとめをお願いしています。科目申請は、当該教育組織に標準カリキュラムに準拠した科目群を正規の授業として設置して協会に「科目認定」を申請することをいいます。一般的には、毎年12月に、翌年度に開講される予定の科目についての申請を受け付けています。申請された科目群は一つ一つの科目ごとに当協会の科目認定委員会において「標準カリキュラム」に準拠しているかどうかが審査され、準拠していると認められて「認定科目」となります。審査の結果は、新学期が始まるまえの3月中に各連絡責任者あてに通知されます。

資格申請は、学部生あるいは大学院生が、認定された科目を履修して社会調査士あるいは専門社会調査士の資格を申請することをいいます。専門社会調査士は、科目履修のほかに自分で執筆した社会調査に関わる研究論文の提出も必要です。申請書類は、当協会の資格認定委員会が審査し、合格と認められると社会調査士あるいは専門社会調査士の資格が認定されます。なお、これ以外に、科目履修を経ないで申請する専門社会調査士(8条規定)もあります。8条規定の申請は、申請者が個人として協会に申請するもので、連絡責任者のとりまとめはありません。

資格申請には、さらに「社会調査士(キャンディデイト)」と「専門社会調査士(キャンディデイト)」があります。必要な科目群の一定部分を履修したのち、部を卒業する前の3年生時、あるいは修士課程を修了する前の2年生時にこれら「キャンディデイト」資格を申請すれば、所定の審査を経て、あらかじめ「資格を取得しうる候補者として」認定証を受けとることができます。なお社会調査協会は、社会調査士・専門社会調査士の資格取得の助けとなる講習会(S科目講習会とアドバンスド社会調査セミナー)を開催するほか、社会調査教育への助成も行っています。