令和6年度 社会調査協会賞 授賞式が執り行われました
第14回社会調査協会賞(優秀研究活動賞と『社会と調査』賞)の授賞式が、2024年11月16日(土)、連絡責任者会議・会員集会に併せて社会調査協会事務局をベースに、Zoomによるオンライン形式で行われました。受賞者は以下の2名の方々です。
優秀研究活動賞 1名
石田賢示 氏 (東京大学社会科学研究所 准教授)
- 主な調査研究テーマ
若年・壮年者のキャリア移動、移民の教育達成、生活時間、社会ネットワーク
『社会と調査』賞 1名
吉田耕平 氏 (鎮西学院大学 総合社会学部 経済政策学科 准教授)
「帝国データバンク社データベースからの地域横断型データ抽出法-福島原発周辺の法人・事業所データセットの構築例を通じて」『社会と調査』第31号,2023年
- 主な研究テーマ
社会科学史、災害・公害研究、産業・労働研究、移住・移動研究
選考委員長報告
優秀研究活動賞は、「社会調査活動を継続的に行い、それに基づく優れた研究業績をあげている者を表彰する」ものです。原則として受賞年度の4月1日時点で45歳以下であること、特定の論文・著書・調査報告に限らずに研究業績の全体を評価すること、の2点を考慮しながら慎重に選考を行った結果、第14回優秀研究活動賞の受賞者として、石田賢示(イシダ・ケンジ)氏を推薦することに決定しました。
石田氏の業績に関して特に評価された点は以下の通りです。石田氏は、社会ネットワーク分析や社会調査の専門家として、労働市場(就職・転職)と社会ネットワークの関連、学校から職業への移行における制度の効果、日本における外国籍児童・生徒の学習と適応など多様な分野や対象に焦点を当て、パネル調査や国勢調査を含む様々な調査データを用いて分析し、多数の著書・論文を執筆しています。加えて自ら調査の企画を行い、実査、その後のデータクリーニング・コーディング、解析までの一連の過程を数多く経験し、研究を進めてきた点が挙げられました。これらの経験に基づき、調査方法に関連する論文も刊行しており、社会調査の普及への貢献も大きいことが評価されました。さらに、これまで執筆してきた数多くの業績は、日本のみならず海外の主要ジャーナル等でも刊行されており、国際的に活躍されている点も評価されました。
以上のように、石田氏の研究蓄積は、社会学分野での優れた研究業績にとどまらず、社会調査全体に対しても大きな貢献を果たしており、選考委員会は優秀研究活動賞に相応しいと判断しました。
『社会と調査』賞については、選考委員会が開催された直前2年間に刊行された『社会と調査』に掲載された社会調査協会会員および専門社会調査士による論文を対象として選考が行われました。原則として、受賞年度の4月1日時点で45歳以下であること、『社会と調査』に掲載された投稿論文ならびに特集論文、調査事例報告を含む論文を対象とすること、の2点を考慮しながら、慎重に選考を行った結果、第14回『社会と調査』賞の受賞者として、吉田耕平(ヨシダ・コウヘイ)氏を推薦することに決定しました。
受賞対象論文となったのは、吉田氏による査読論文「帝国データバンク社データベースからの地域横断型データ抽出法-福島原発周辺の法人・事業所データセットの構築例を通じて-」(『社会と調査』第31号掲載)です。
本論文では、誰もが利用可能な商用データベースから研究目的にあった情報を抽出する手順が明快に示されており、とりわけ災害時における地域をまたぐ事業展開および立地移動の分析など、産業動態の解明への手法としての可能性が示唆されています。この点が『社会と調査』の読者にとって非常に有意義であるとして高く評価されました。
以上の理由から、本論文は『社会と調査』賞に相応しいと判断しました。