研究と実践をつなぐ学び
池田恭聞
S1、S2科目講習会を知った経緯、受講の動機
大学院に進学して初めて、専門社会調査士という資格の存在を知りました。私が所属する大学院は新設されたばかりであり、一期生として入学しました。新たな学びの環境ということもあり、同級生同士で授業内容や各自の研究テーマについて活発に意見交換を行う機会が多く、そうした中で自然と社会調査の手法や意義に関する議論も深まりました。研究を進めていく中で、授業で学ぶ内容に加えて、より実践的かつ体系的に社会調査を学びたいという思いが強くなりました。そうした折、指導教員より専門社会調査士の資格取得に必要な講習会について案内があり、受講を決意しました。
専門的かつ実践的な講義
講習会はオンライン形式で実施され、講義内容はオンデマンド配信で提供されました。日中は仕事をしている私にとって、任意のタイミングで視聴できる形式は非常にありがたく、忙しい日々の中でも自分のペースで学習を進めることができました。回帰分析の実際など講習動画は受講期間内であれば繰り返し視聴可能であったため、理解が不十分な部分を何度も見直すことができました。さらに、オンデマンド配信に対して質疑応答のライブ配信が用意されていたことも、受講者にとって非常に有益な仕組みだと感じました。
講習内容自体も大変充実しており、特に量的調査を中心に研究を行っている私にとっては、先生方の専門的かつ実践的な講義から多くの学びを得ることができました。相関分析や回帰分析といった統計的手法の解説や、サンプリング設計といった調査設計の考え方など、実際の研究に直結する知識を深めることができ、社会調査に対する理解が一層深まりました。
社会課題をデータに基づいて捉える
私は現在、障害のある方の就労支援という福祉職に従事していますが、これまで社会調査とは無縁の分野だと感じていました。しかし、大学院での研究活動を通じて、社会調査が持つ意義を深く実感するようになりました。社会調査を通じて、私たちの支援に意味があるのかといった福祉の現場で抱えていた漠然とした疑問に対し、根拠を持って向き合うことが可能になり、現行の福祉政策への理解もより深まりました。
また、社会課題をデータに基づいて捉えることにより、表面的な対応ではなく、問題への構造的なアプローチを考える視点を持つことができました。専門社会調査士という資格は、こうした実践的・学術的な視点を兼ね備えた専門性の証であり、研究者としてだけでなく、福祉の専門職としての自分の幅を広げてくれるものだと感じています。
新見公立大学大学院 健康科学研究科 地域福祉学専攻
受講年度:2023年度S1科目講習会、2024年度S2科目講習会