協定制度を利用した他大学での関連科目の履修
佐藤祐菜

S1、S2科目講習会を知った経緯と受講の動機

大学院に進学後、専門社会調査士という資格の存在を知りました。研究者のキャリアにどんな要件が求められるかを知るために、時々大学教員の公募を眺めていたところ、「専門社会調査士の資格があることが望ましい」という文言をよく目にしました。しかし、所属する大学院は同資格制度の参加校ではなく、取得は視野に入っていませんでした。そんななか同じ大学院の同期が、専門社会調査士の参加校である早稲田大学と所属大学との協定制度を利用し、必要科目を履修したと教えてくれました。また、専門社会調査士(正規)の取得には、通常、社会調査士資格が必要になりますが、学部で関連科目を履修していなかった人向けに、代替として社会調査協会がS科目講習を提供しています。これらの制度を利用して関連科目を履修できることを知り、キャリア構築の準備として、専門社会調査士の取得を目指すことを迷わず決意しました。

S1、S2科目受講の感想

S科目講習会は長期休みの時期にオンラインで行われていたので、研究活動と両立することができました。また、質的手法を用いてきた私は、統計や量的調査の知識が不足していると感じていたため、それらを基礎から短期集中型で学べたことは、大きな利点でした。量的手法を用いた論文の解像度が前よりも上がり、よりクリティカルに読めるようになったと感じています。一方、質的調査法のS科目は、将来自分が学部生に対して教えるかもしれない科目であることを意識しながら受講し、先生方の教え方を学ぶ貴重な機会になりました。

専門社会調査士資格の意義

他大学での専門社会調査士の取得は、大変なこともありました。例えば、他大学での授業履修が、制度上何年間まで許可されるのか事務の方と相談したり、他大学のキャンパスに通ったりする必要がありました。大変だった分、認定証をいただいたときは、とても嬉しかったです。質・量の垣根を越えて共同研究に従事するうえでも、自分がこれまで採用してきたものと別の手法を学ぶことには、意義があると思います。私にとって専門社会調査士はそのきっかけとなり、研究者としての幅が少し広がったと感じています。

慶應義塾大学社会学研究科社会学専攻後期博士課程
受講年度:2020年度S2科目講習会、2021年度S1科目講習会