インタビュー調査やアンケート調査の方法を学び、統計や世論調査の結果を批判的に検討するなど、社会調査の現場で必要な能力をもった「社会調査の専門家」のことです。
大学で資格認定に必要な科目の単位をとり、大学卒業時に社会調査協会に申請すれば資格を取得できます。社会調査のエキスパートとして、社会や市場から必要な情報を集める「情報収集力」、情報を正しく読み解く「分析力」、社会人として行政や企業で積極的に社会貢献する「行動力」を身につけましょう。
さらに大学院などでより専門的な教育を受け、調査の企画や運営管理、報告書の執筆能力など、高度な実践能力があると認められた人に与えられる「専門社会調査士」という資格もあります。
調査関連の民間企業では、社会調査士の資格保持者を優先したり、すでに働いている人に専門社会調査士の資格取得を勧めたりする傾向が見られます。情報社会の進展に伴い、それ以外の職業でも、調査の実施やデータの分析だけでなく、調査の(分析を含めた)妥当性を判断する能力が必要になりつつありますので、社会調査士資格を有していることは、学生が自分をアピールする重要なポイントになってきています。
なお、大学院などで取得する「専門社会調査士」の資格は、社会調査を活用する学問領域において研究職に就職する際、しばしば「取得していることが望ましい」とされています。
社会調査協会で定めた「標準カリキュラム」のA~Gに対応する(資格認定科目)を履修し、単位を修得した上で、社会調査協会に申請することで社会調査士資格が取得できます。
また、就職活動を始める前には、「社会調査士(キャンディデイト)」を取りましょう。「社会調査士(キャンディデイト)」は、2年生以上の学生を対象に、社会調査士資格を取得予定であることを証明する資格です。 社会調査士科目を3科目以上取得し、さらに2科目を履修中、もしくは取得済みであれば申請できます。申請が認められると、「社会調査士(キャンディデイト)認定証」と「社会調査士(キャンディデイト)証明書」が発行されます。
就活の面接の時には、社会調査士資格を取得予定であることを示す「社会調査士(キャンディデイト)」でアピールしましょう。就職活動中の面接で、「社会調査士という資格があるのですね?」と尋ねられた先輩は、その質問をきっかけに大学時代に力を入れたこととして、ゼミや社会調査実習の内容を話し、自分がどんなことに興味・関心をもち、力を入れてきた人間かをアピールするきっかけとしています。その資格取得を通してどんな行動をし、何を学び取ったのか、そして自分が今後どのように会社に貢献できる人材であるかをアピールしましょう。
身につけたスキルを問われた時には、たとえば、Excelで見やすい集計表やグラフを作成できたり、相関係数を理解して統計分析ソフトを使いこなせる能力があることをアピールすることはポイントになるでしょう。あるいは、インタビュー調査の実習で、はじめはなかなか協力してもらえなかったけれど、声をかけつづけた結果、話し好きの人に出会えた体験なども話題となるかもしれません。科目履修で身につけた積極的な行動力、情報収集力、データ分析力は、あなたの武器になるはずです。
「社会調査士(キャンディデイト)」の認定を受けて卒業時に「社会調査士」の資格を取得する場合の認定手数料は、合計で22,000円(消費税込み)です。所属大学が教育組織会員であった場合、認定手数料が19,800円(消費税込み)に割り引されます。社会調査士(キャンディデイト)が認定されると、在学中に「社会調査士(キャンディデイト)証明書」が発行され、就職活動で活用することができます。
「社会調査士(キャンディデイト)」を取得しないで、卒業する時だけに「社会調査士」の認定申請をおこなう場合は、16,500円(消費税込み)が必要です。
各大学のカリキュラムにもよりますが、資格認定科目は卒業単位に含むことができるため、カリキュラムを踏まえて履修していけば、無理なく単位を修得していくことができるはずです。
社会調査士資格を取得するという意欲と、授業を真摯に受ける姿勢があれば大丈夫です。
各大学が認める科目等履修生の制度などで、申請に必要な単位を修得することができます。
社会調査士資格制度は、学術団体である日本教育社会学会、日本行動計量学会、日本社会学会の3つの学会が協力して大学における社会調査教育の水準向上とこの分野における優れた人材育成をめざして2003年に発足しました。
その後、2008年に独立した「一般社団法人 社会調査協会」が設立されて今日に至っていますが、協会の運営と活動は、これら3学会を中心とする日本における社会調査の学術研究者集団によって担われてします。現在、約300の大学・学部などの機関が、この制度に参加しています。