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S科目講習会
受講体験記
社会調査協会では、
S科目講習会と、アドバンスド社会調査セミナーを開講しています。
S科目講習会を受講した方からのメッセージをご紹介します。
調査研究を「読み解く」/「実践する」リテラシーを養う
澤田 唯人
[NEW]2016年12月5日UP

私がはじめて「専門社会調査士」資格の取得を意識したのは、修士論文の執筆過程においてでした。当時、博士課程への進学が叶えば、研究テーマに関わる社会調査(具体的には当事者の方へのインタビュー調査)に赴きたいと考えていましたが、必ずしもそのことが資格取得の動機となったわけではありません。むしろ初発の動機は、先行研究との向き合い方をめぐる自身の姿勢の問題に関わっていたように思います。

多くの大学院生が、自らの研究テーマが定まってくると、それに関わる先行研究の検討に取り組み、その過程で量的データを統計的に処理・分析した多くの論文に出会うことになります。私の場合、そうした分析の「中身」を自分がどこまで適切に読み解くことができているのかに不安を抱いていました。(数学が得意でなかった私にとって)提示されている難解な数式やモデルが何を意味しているのか、選択された解析手法がこの研究の中で何をしていることになるのか――わかるところ(問題設定と分析結果)だけを読んでわかった気になって済ましていては、自分はこの論文を読んだことにはならない(そして当たり前のことですが、論文を書いた「人」とも向き合っていない)と思ったのです。

そんなとき、専門社会調査士を取得されていた先輩方が、(大学院が資格制度参加校ではない)私にS科目講習会と他大学院での科目履修を勧めてくださいました。実際、量的調査の講義がメインとなる講習会では、解析ソフトで省略できてしまうプロセスを、手計算でひとつひとつ順を追って理解でき、初学者でも数式の意味や各種解析法が前提とする枠組みを詳しく知ることができました。とはいえ、限られた時間のなかでは調査票の作成やデータ収集の実際といった調査過程のすべての課題に触れることはできません。それでも、目の前にいる先生方に質問や相談ができるという講習会ならではの利点もあり、より実践的な大学院科目に向けての基礎を十分に習得できたと感じています。

資格さえ持っていれば良い調査ができるわけではありません。しかし、先行する調査研究を読み解くためのリテラシーなくして、自らの調査を展開することもできないのだと思います。その意味で、S科目講習会への参加は、「社会調査の世界」へと参与する確かな一歩を踏みださせてくれる場であったと、今インタビュー調査に赴きながら感じています。

澤田 唯人  慶應義塾大学大学院社会学研究科社会学専攻後期博士課程
受講年度:2012年度S1科目講習会、2014年度S2科目講習会
社会調査スキルの更なる向上に向けて
河村 裕樹
2016年6月20日UP

学部生の時に社会学研究室に所属してはいたものの、社会調査士科目が開講されていなかったため、社会調査に関する知識は、卒業論文に必要なだけを、講義とテキストから学んだだけでした。そして数年後に大学院に進学した当初から、自分の研究テーマを遂行するために社会調査を学ぶ中で、社会調査士と専門社会調査士を取得しようと考えました。しかし修士課程の2年間という限られた期間の中で、学部で開設されている科目を履修するのは負担が大きく、悩んでいたところ先輩から紹介されたのがS科目でした。

なぜ社会調査士・専門社会調査士の資格に興味があったかといえば、実際に調査現場で調査を行おうとしたときに、調査をするに足る能力を有しているということを先方に伝える客観的な指標がないと、信頼を得るのが難しいという事情がありました。また質的調査を手法として採用していましたが、他の研究を参照する際には質・量という枠を超えて、広く社会調査に関する知識がないと活用できないという問題もありました。

S科目では、8日間(4日間×2)の講習が行われますが、そのうちの7日間は量的調査に関するものです。その意味で、質的調査に携わる者として、量的調査のエッセンスを学べたことは有意義でしたが、近年の質的調査の多様さを鑑みると、扱われる範囲は限定的なものです。しかしそれでも、社会調査を行うにあたっての基礎的な知識は、分野を超えて、幅広く学ぶことができました。

8日間の中で、社会調査の基礎のすべてを学ぶことには限度もありますが、講習会では毎回異なる講師の工夫により、体系的に知識を得ることができました。時間的な制約もあり、調査票の作成やデータクリーニングなどには触れることはできませんが、毎日の小テストなどでそのような点が補われ、基礎的な知識は定着したと実感できました。また受講者からの質問に対して講師の先生方が丁寧に対応して頂き、非常に密度の濃い8日間でした。

社会を論じるにあたっては、説得的なデータの提示が意味を持ちます。その入り口として、講習会を活用することは有意義ではないでしょうか。

河村 裕樹  一橋大学大学院社会学研究科 総合社会科学専攻社会動態研究分野 博士後期課程
日本学術振興会特別研究員(DC1)
受講年度:2013年度S2科目講習会、2014年度S1科目講習会
専門社会調査士までの道のり
尾曲 美香
2015年7月13日UP

「社会調査士」「専門社会調査士」という資格を知ったのは、大学院に入学してからのことです。学部生時代に社会調査について学んだことのなかった私は、どのような資格なのか、そもそも社会調査とは何なのか、十分にイメージできませんでした。そのような状況でしたが、何気なく参加した資格取得の説明会で、担当の先生が「きちんと設計された社会調査のデータは、主観的な印象で語られるよりもはるかに正確に社会を映し出す」とお話しされたのが印象的で、社会調査、そして資格取得に興味を持ち始めました。

しかし、大学院では専門社会調査士の認定科目しか開講されないため、社会調査士資格を持たない院生は、学部の授業を履修し所定の単位を取得する必要があります。大学院の授業に加え、学部の授業を履修することは厳しいと判断し、一度は資格取得を諦めました。

そのような時、先輩からの情報でS科目講習会の存在を知りました。8日間(4日間×2)で社会調査士・専門社会調査士の同時申請資格が得られるだけでなく、社会調査について体系的に学べる刺激的な講義だったと聞き、迷わず受講を決めました。聞いていた通り、合計8日間のS科目講習会は内容が濃く、社会調査の基礎から分析までを効率良く学ぶことができ、無事専門社会調査士の取得に至りました。

一方で、S科目講習会には、調査票の作成、データの収集、データクリーニングなど、実務的な体験ができないという欠点もあります。また、4日間連続で講義を受けるため、学んだ内容を翌日までに消化し切れないと感じたこともありました。しかし、先生方の熱心な講義と毎日の小テストの積み重ねによってそのデメリットは補われ、確実な基礎力を身に付けることができたと感じています。

私たちの生活のまわりには、国勢調査をはじめ、様々な統計データがあります。資格取得の過程で、それらのデータがぐっと身近なものになり、社会を見る眼が磨かれることは間違いないと思います。社会調査士資格を取得していないために専門社会調査士資格を諦めている大学院生も多いかと思いますが、自分の研究課題に適した調査手法を見つけ、スキルアップする機会にもなりますので、S科目講習会の受講を検討してみてはいかがでしょうか。

尾曲 美香  お茶の水女子大学大学院 人間文化創成科学研究科ジェンダー学際研究専攻 博士後期課程
受講年度:2012年度S1科目講習会、2013年度S2科目講習会