社会調査士をめざす学生の声!

みなさんの学習の参考にしてください

調査実習は、真の能動的学修と人間関係トレーニング!
聞き手:立正大学心理学部 准教授 髙橋尚也(T)
立正大学心理学部対人・社会心理学科では、「社会心理調査実習Ⅰ・Ⅱ(G科目)」を担当する教員ごとに大テーマを設け、受講生が3〜6人くらいのグループを組み、大テーマに対しどのような角度から切り込むかを考え、量的調査を実施しています。「社会心理調査実習Ⅰ・Ⅱ」は3年次に開講され、全クラス合わせて90名近くの学生が履修しています。12月には石橋湛山記念講堂(大講堂)で発表会も行います。卒業間近の4年生の甲斐紗也佳さん(K)、橋爪彩乃さん(H)、発表会を終えたばかりの3年生の三島爽暉さん(M)にお話を伺いました。

Q.さて、実習を履修した感想はいかがですか?

(H)

仮説を立てて、調査をして、解析をしてまとめていくこと、とにかく1年間かけて1つのことを突き詰めるのは、本当に大変でした。

(K)

グループでやることが大変でした。時間を合わせたり、来ないメンバーがいたときに共有したり指示出したりすることが大変でした。

(H)

授業時間外に週に2・3回会って、分析を進めたり発表資料を作ったりと工夫してやりました。

(T)

どんな仮説でデータを取ったのでしたっけ?

(K)

ブームの中でもキャッチーなものにしたいと思ったので、「異性からの食事の誘いにのる条件」を分析しました。意外と誘いに乗るんだなということがわかったことと、サンプルがあまり誘われた経験を持っていないことがわかり、よく日常の話題にのぼるけれど、全体ではそこまでではないんだと。ただ誘いによくのる層がいることもわかりました。

(H)

「パンケーキブーム」に注目し、行列に並ぶ人とそうでない人の違いを分析しました。仮説は安易に考えて進めたのですが、実際にデータを分析していくと、友達と一緒であることを好むけれど、友達よりも流行を先取りしていたい人が並ぶ、といった具体的な人物像が見出せました。

(M)

発表会直後ですが、「他者に共感することを学んだ」という収穫がありました。他人が考えていることを自分がこうなんだろうなと推測することは真の共感ではなくて、他人が置かれたある状況に自分も身を置いて経験して、それを言葉にするのが共感なんじゃないかと考えるようになりました。私は「髪を染めることが流行っているのはなぜか」に注目し調査を行いました。私は髪を染める理由が全くわからなくて調べようと思ったのですが、それだけだとなかなか仮説やデータの解釈ができなくて。発表会1日だけですけど、スプレーで髪色を変えてみたんです。そのときに、ピアスとかつけてみたいなとか格好を気をつけたいなとか思ったので、あ、「それがこの結果の意味か」とわかるようになりました。

(H)

確かに、体験してわかることというのは調査実習の中でたくさんあって、全てのケースで自分が体験できるかどうかわからないけど、大事ですよね。

(T)

M君は、どんなきっかけでそう感じるようになったの?

(M)

調査実習中で、何でもそうかもしれませんが、自分一人でできることには限界があって、協力して成し遂げられることや、いろいろな視点を持ったメンバーが取り組むことで得られる成果があるんだと思うようになりました。

Q.「調査実習」で得たことはありますか?

(K)

グループで大きな何かを作り上げる授業がなかったので、人とうまくやりつつ、達成できたことがよかったです。

(H)

段取りを考えて作業をする力を身につけられたと思っています。分析でも、ただ解析をかければよいのではなく、その先に何が得られそうかという見通しをもったり、他のメンバーとの調整・スケジューリングをする力がついたりしたと思います。

(K)

他に、就職活動で話せることよかったことです。「調査実習で学んだことを会社でもいかせます」と。

(H)

社会調査士関係の科目を履修して、TVや新聞などでグラフを見たときに、その背景(調査方法やサンプル数など)を気にするようになったかもしれません。提示されても鵜呑みにするのではなくて、いろいろな角度で見ることができるようになったと思います。

(M)

1年や2年次の調査関係の授業が、調査実習につながってるんだなというのがやっていてわかりました。

Q.「社会心理調査実習Ⅰ・Ⅱ」をはじめとして、社会調査士関連科目の履修したことは、皆さんの就職活動や進路に何か役立つことがありましたか?

(H)

調査実習で学んだことを話すことはネタになりました。グループでこんなふうに一つのことを成し遂げました・・・と。調査とは関係ない業界に就職するんですけど。

(K)

履歴書に書けるということでしょうか。私も調査と関係ない業界ですが、調査実習で「他の人と対人関係をこういうふうに円滑に築くよう努めた」というようなことを就活では推して話しました。

(T)

面接官の反応は?

K:

普通に「ふーん」って感じです。リアクションは大きくないかもしれないですが、たまに「どんな結果だったの?」など掘り下げて聞いてくれる人もいます。

(H)

「社会調査士」を実際に知っている面接官はかなり少ないように思います。

Q.言いにくいかもしれないけれど、社会心理調査実習や社会調査士の改善点を教えてください。

(K)

先生によって進度が違うとことが気になります。髙橋先生のところがいちばん面倒だと。。。

(H)

実習中は、どうしてもグループ内の作業に集中してしまうので、分析中に他のグループがどんな進度か、何をしているのかを知れたら、自分たちのグループの指針になってよいかなと思います。

(K)

あと、「社会調査士」を取得して何になるのかはあまり理解している学生少ないと思うので、そのあたりの見通しを示してほしいです。

(M)

調査実習の単位数や授業時間を倍にできないんですか。調査実習は大変だと聞かされていましたけど、やはり、やってみたら授業外学修の時間がハンパじゃなかったので。

(H)

講堂での発表会が長時間にわたるので、集中が切れて耐久戦になっちゃうのが残念かもしれません。

(M)

講堂での発表会がどうしても学科の内輪感が強かったので、緊張感がそこまでないので、外部の人に来てもらうとか企業の人に来てもらうといった工夫があってもいいのかもしれません。

Q.もし、後輩に「社会心理調査実習Ⅰ・Ⅱ」を薦めるとしたら、どのような点ですか?

(H)

自分たちで一連の調査過程をやってみたことで、社会心理学の教科書に出ている知識の裏側には計り知れない研究の努力があるんだなと考えられることです。

(K)

就職活動で話すネタになることだと思います。何より私は調査実習が楽しかったんです。みんなとおしゃべりもできて、結果的に発表会では賞も取れたので。

(H)

卒論で困った時に役立ちます、調査実習の時どうだったっけと思い出しながら取り組みました。

(K)

調査実習やっていないと卒論は書けないと思います。また、調査実習のことは大学生活の忘れない経験です。どこかで対人・社会心理学科卒の人に会ったら、「調査実習」が共通話題になると思います。

(T)

調査実習担当者全員が心がけていることは、「ヒントは出すけれど答えは学生に探してもらう」ということです。最善の答えが導き出せなくても、データから自分たちで答えを見つけ出そうと努力する姿勢、定説であっても疑ってみる姿勢を養いたいと考えています。みなさんのお話を伺って、おおむね狙い通りと思うと同時に、集団内での対人関係スキルや合意形成スキルも獲得できているようです。課題は、授業外学修や社会調査士の知名度向上ですね。ありがとうございました。

(M)

髙橋先生は「ヒントのヒント」しかくれないじゃないですか!(笑)

(掲載日:2018年3月19日)

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社会調査能力を活かして働きたい
聞き手:聞き手:大谷信介(関西学院大学社会学部・教授)
関西学院大学社会学部の特徴は、ゼミである研究演習(Ⅰ・Ⅱ)が、「社会調査実習」(Ⅰ・Ⅱ)と連動しておこなわれている点です。今回は、社会調査士をめざす大谷ゼミの4年生・3年生に、ゼミの活動内容と自分自身の将来について語ってもらいました。

社会調査士をめざす大谷ゼミの4年生・3年生に、ゼミの活動内容と自分自身の将来について語ってもらいました。

Q.まずは4年生のゼミ活動について紹介してください。

(大地)

僕たちは3年生の時に「東京23区便利帳調査」を実施しました。便利帳というのは、「くらしのガイド」などと呼ばれる場合もありますが、各市区町村が発行している冊子です。市役所での手続きや各種助成金の紹介・ゴミの出し方など、その市で生活する上で必要だったり役に立ったりする情報が載っています。3年生の夏休みに東京合宿をおこない、東京23区の区役所を訪問し便利帳を収集しました。そして地元の西宮市と大阪市の便利帳と比較するために、便利帳に掲載されている情報をデータベース化しました。これは「東京一極集中」への問題意識から生まれた調査研究です。大阪や西宮と比べると、東京の住民サービスはとても恵まれていることがわかってきました。たとえば練馬区には温水プールが6つあり200円で利用できますが、西宮市に温水プールはまったくなく、利用するとしたら民間のジムなどへ行かなければならないのが現状です。現在、この便利帳データベースに加え、23区の基本データや税収データなどもエクセルに整理して、卒論にまとめているところです。 一方、大谷ゼミでは毎年のように「大学生調査」を実施しています。その調査票作成やデータ入力・分析にも取り組んできました。大学生調査では、現住地などの「場所」を空間的に把握するために、最寄駅や郵便番号を質問するなど、いろいろな試みを実践してきました。

Q.大地君と谷本君はもうすぐ卒業です。社会調査士取得を目指してきた二人ですが、実社会でどのように社会調査能力を活かしたいですか?

(大地)

僕は建築業界への就職が決まっています。これまで「大学生調査」だけでなく、大谷ゼミで実施してきた「関西ニュータウン比較調査研究」や「西宮マンション調査」なども用いて、関西都市圏の住民の「住む」ということを分析してきました。具体的には、現住地と前住地の関係、居住地選択の理由、などです。また国勢調査や住宅土地統計といった国の調査の整理・分析もおこなってきました。こうした活動で習得した技術やノウハウ、研究を進めるうえでたたき込まれた仮説構成力などを、就職してからも活かしていきたいと思っています。

(谷本)

僕は神戸市役所への就職が決まっています。大学入学前から公務員になりたいと思っていました。友達のお父さんが市役所で働いていて、その内容が都市開発だったので、やりがいのある仕事だなと。このゼミを選んだ理由も、都市社会学のゼミだったからです。

便利帳調査や23区のデータ分析をして、東京一極集中の実態や地方と都市の差を痛感しました。ゼミでは大阪都構想の問題についても議論しました。大阪だけでなく、神戸市や京都市も含めて、関西がどのようにして生き残っていくのか、考えなければならない大きな問題だと思いました。

社会調査士を目指したのも、公務員として働くうえで必要な能力だと思ったからです。何らかの政策を考える場合、まず第一に住民の実態を把握しなければならないと思います。実態を正しく認識してこそ、人々の役に立つ有効な施策が考えられるのではないでしょうか。まさに社会調査の能力が求められていると思います。4月からは、社会調査の能力と、ゼミで議論した経験と内容を活かし、関西の地方創生に少しでも役立てるようがんばりたいと思います。

Q.次に、3年生の皆さんにゼミ活動について紹介してもらいましょう。3人とも社会調査士取得を目指しています。

(小嶋)

僕たちは、都道府県が実施する「県民世論調査」や「モニターアンケート調査」の実態について調査しています。まず47都道府県のホームページで情報を収集し、わからなかった点について電話調査を実施し、調査方法や回収率、外部委託の状況について整理しています。さらに調査票を収集し、どのような内容が聞かれているのか・どんな質問文なのかといった内容分析をおこなっています。 この調査研究を進めていく中で、企業のマーケティング等だけではなく公務員にとって社会調査の能力が必要なものであると考え、ゼミで学んだことを公務員として活かしたいと思うようになりました。調べてみると、多くの都道府県で多額の税金を使って県民を対象とした県民意識調査を行っていることがわかりました。しかし現在行われている調査には多くの問題点があると思います。それらを改善していくことで県民の生活実態を正確に捉えられるようにしたい、そして将来は公務員として自分が調査をおこなったり、その結果を政策形成に活かす立場になりたいと思っています。

(今井)

大谷ゼミでは2001年にも大阪府下44市町村が実施する市民意識調査について調査研究をおこない、問題提起をしました。僕たちは、問題点を指摘するだけでなく、実際に政策形成に役立つような調査を提案してみたいと思っています。

来年度、愛媛県を対象に「愛媛県民生活実態調査」を実施する予定です。今年度は、そのためのプレ調査として大学生を対象に調査を実施しました。調査票作成から教学システム上でのネット調査の実施、分析まで一連の過程を担当しています。実はSPSSは触ったこともなかったのですが、歴代ゼミ生が作成してくれたマニュアルを見ながら、データ入力やクリーニングをすることができました。これから本格的に分析をおこないます。きっと難しいと思いますが、このノウハウを習得したいと思っています。こうした調査票作成能力や、データ収集・分析能力は社会に出てからもきっと必要だと思うので、がんばって身につけたいと思います。

(奥野)

47都道府県の県民世論調査を調べているうちに、「県庁では、職員が社会調査について学ぶ機会があるのだろうか」という疑問がでてきました。そこで僕たちの班では、都道府県の職員研修について調べています。社会調査に関する研修はあるのかどうか、どのような研修がおこなわれているのか、研修は外部委託されているのか等について、自治大学校の調査資料や都道府県のホームページに掲載されている研修方針や研修計画を調べています。あまり情報が載っていないので、電話調査も実施しました。今まで調べてみたところ、やはり社会調査に関する研修を実施している県は非常に少ないです。 僕も公務員志望です。谷本さんの言うとおり、政策を考えるためには住民の実態を知らなければならない、そのためには住民の実態を正確に把握できる調査を実施しなければならない、と思います。公務員というと法律系の勉強が多いのですが、社会調査の能力を身につけて、活かしたいと思います。

皆さん、就職してからのことを見据えて、社会調査士を取得しようとしているのですね。社会調査士の能力は、どんな職業でも必要な能力だと思います。ぜひ、その能力を存分に活かして、それぞれの分野で活躍してほしいと思います。

社会調査士科目を履修して:「多角的」に見ることの大切さ
聞き手:岩間 暁子(立教大学社会学部社会学科教授)
インタビューに応じてくれたのは、1~3年次に社会調査士科目のうち、F科目を除くすべての社会調査士科目を履修し、3、4年次に計量社会学を学ぶゼミに所属した学生です。現在は、「ソーシャルゲームへの参加の規定要因の解明」というタイトルで卒業論文を執筆中です(インタビューは2015年11月に実施)。

卒論発表

Q.高校までで「社会調査」に触れたことはありましたか。

高校までは特に「社会調査」に触れたことはなく、「社会調査」に関する知識はまったくない状態でした。大学に入ってから、一年次前期の学部必修科目「社会調査法1」(A科目)で初めて「社会調査」に触れました。

Q.立教大学社会学部ではA~C科目を学部必修科目に指定していますので、全員が履修しますが、それ以外の社会調査士科目も履修しようと思ったのはなぜですか。

もともと、「数学」などの数字を扱う科目も好きだったため、一年次に履修した「社会調査法1」と「社会調査法2」(B科目)の授業で紹介された社会調査の統計的分野にとても惹かれました。また、ゼミなどで一緒になった友だちのなかに社会調査士関連の科目を履修していた人もいたので、友だちの影響も受けたように思います。

Q.2年次の学部必修科目「社会調査法3」(C科目)ではどのような勉強をしましたか。

Excelや統計分析ソフト(SPSS)などを用いて、グラフの作成や基礎集計、相関係数、クロス表などの基礎的な分析方法を一人が一台のパソコンを使って実習形式で学びました。

Q.「社会調査演習」(G科目)ではどのような勉強をしましたか。

3年次に履修した「社会調査演習」では、東京都と茨城県に暮らす有権者のなかから無作為で抽出した1200名の方を対象に、郵送調査法で「消費税増税後の暮らしと意識に関する調査」を実施しました。分析段階では、同時期に履修していた「社会統計学」(D科目)や「多変量解析」)(E科目)で習得した知識も用いて、「説明変数が被説明変数に及ぼす影響が具体的にどの程度なのか」などについて、具体的なイメージが持ちながら学ぶことができました。

Q.「社会調査演習」では、何か苦労はありましたか

「社会調査演習」では既に学んでいた回帰分析などだけでなく、ログリニア分析などのより高度な分析手法についても実際に統計分析ソフトを使って実践的に学ぶことができたのですが、最初はわからないことだらけでとても苦労しました。教科書で調べ、先生に聞いてある程度わかったと思っても、またわからないところが新たに出てくるということの繰り返しでした。

Q.卒業論文ではどのようなことをテーマにしていますか。

昨年度の「社会調査演習」で収集したデータを利用して、オンラインゲームのなかでもスマートフォンにおけるソーシャルゲームに着目し、「ソーシャルゲームでユーザーがお金を払ってアイテムを購入するかどうかに対して、人間関係や社会的不満がどのような影響を及ぼしているのか」を明らかにしようとしています。先行研究によって、ゲームに依存しやすい人は現実世界での不満が大きいことがわかっていますが、その影響の強さまでは明らかになっていません。
まだ分析は終わっていませんが、「現実の生活という、ヴァーチャルな世界で人間関係に不満を抱いている人ほど、ゲームをより多く利用したり、ゲームのなかでお金を払ってアイテムをより多く購入することによって満足感や快感を得ている」という仮説を立てました。また、ゲームの世界で強くなることによって満足感を得るという経験が、結果として、ヴァーチャルな世界での人間関係の構築に役立っている可能性も考えてみたいと思っています。

Q.卒業論文と社会調査はどのように関連しましたか。

卒業論文でも、これまで「社会調査演習」などで勉強してきた社会調査に関する知識を活かして、自分でたてた仮説が実際に成立しているのかどうかについて、統計データの分析をおこない、その結果をもとに書くことを選びました。やはり、自分が一番興味を持てる研究手法を用いて卒業論文に取り組むことがモチベーションを保つ上でも重要だと考えたのでそうしました。

Q.社会調査を勉強したことが、この先、どのように活かせそうですか。

一つの視点に固執してしまうと、実際には存在するものが見えなかったり、気づきが減ってしまうように思います。社会調査を学ぶなかで身につけることができた、こうした「多角的な視点」で考えることは、この先、仕事だけではなく、何をするにあたっても重要だと思うので、日常生活のなかでも多くの気づきを得ていきたいと思っています。

社会調査士科目を履修して:「なぜ」の大切さ
聞き手:小林 盾(成蹊大学文学部現代社会学科准教授)
インタビューに応じてくれたのは、1~3年次に社会調査士課程科目A~Gをすべて履修し、2~4年次に小林ゼミに所属した学生です。卒論タイトルは「旅行の社会学」で、ゼミ10名中の最優秀卒論でした。

卒論発表

Q.高校までで、「社会調査」に触れたことはありましたか。

高校のなにかの授業で、「これまで何人の恋人と交際したことがあるのか」を例に、アンケート調査をすると、自分の実感と現実がすごく違うことを知りました。「へえ~そうなんだ」とびっくりしました。

Q.大学に入って、1年生の時から社会調査士科目を履修しましたね。導入の2つの科目(A,B科目)は私の担当でした。どうして社会調査を勉強しようと思いましたか。

周りの人がほとんど履修してたし、社会調査士という資格を取れるので、大学生活の成果が形に残ると思ったからです。

Q.2年生になったら、どんな勉強をしましたか。

小林先生の量的調査の科目(D科目)で、私の班は自営業者について総合的社会調査(JGSS)データを分析しました。そのとき、宿題で「量的分析を質的分析で補うために、フィールド調査かインタビュー調査をする」ことになりました。そこで、私の祖父がかつておもちゃ屋をしていたので、仕事での苦労やなぜ閉店したのか、話しを聞きにいきました。祖父からそうしたことを聞くのは初めてでした。

Q.3年生になったら、調査実習(G科目)で班長を務めましたね。近隣の東京都西東京市で、ランダムサンプリングの郵送調査をしました(母集団は20~60代男女、回収数298、回収率60.2%)。どんなことを分析しましたか。

せっかく多様な年代の人びとにアンケートするので、あれこれ議論して、私たちの班は「お酒の飲み方」について調べることになりました。ただ、アンケート実施前に仮説を6つくらい立てたものの、どれもデータから支持されませんでした。そこで、とにかくいろいろな組み合わせでクロス表をつくりまくって、なんとか「フルタイムで働く人ほど忙しいのでコンビニでお酒を購入し、そうした人ほど発泡酒を飲む」といったストーリーに辿りつきました。

Q.班長として大変だったことはありますか。

統計分析もですが、インタビュー調査で協力してくれる人がなかなか見つかりませんでした。けっきょく、大学近くのコンビニでようやく店長さんにお話しを聞けました。

Q.4年生では、ゼミの卒論執筆が勉強の中心になります。テーマは何でしたか。

私は「旅行の社会学」というテーマを選びました。もともと旅行が好きで、年に何回か海外にいってました。仮説をたてて、インタビュー調査を実施して検証しました。卒論執筆中もハワイ、ベトナム、ニューヨークに行きました。

Q.そうでしたね。それらはフィールド調査として卒論にうまく活かしましたね。では、どんな苦労がありましたか。

先生から「独立変数にも従属変数にもバラエティがないと、分析できないよ」といわれていたのですが、ほとんどの人が旅行好きだったので、途中で困ってしまいました。一方で、「国内旅行すらしたことがない」という人もいて、仮説を考え直さざるをえませんでした。

Q.インタビューは、どのような人にしましたか。

最初はゼミの同級生、後輩、大学の友人に、何人か一緒に座談会方式でおこないました。ただ、みんな旅行によくいくようだったため、そのあととにかく地元八王子の知り合いや中学高校の友人に声をかけて協力してもらいました。16人ほどにインタビューして、最終的には典型的なタイプの6人を卒論で取りあげました。

Q.どのようなことが分かりましたか。

小さいころ親と一緒に旅行をよくした人ほど現在旅行によくいき、そうした人ほど見聞が広がるのか、仕事でも趣味でも向上心が強いようでした。とはいえ、実際には例外も多く、現実は多様なんだなあと実感しました。

Q.それでは、社会調査を勉強したことが、この先どのように活かせそうですか。

調査実習や卒論で最初に仮説をたて、データを集めて検証し、その結果を解釈するということを繰り返しました。どの段階でも、「なぜそうなのか」「他に可能性はないのか」を徹底的に考える必要がありました。このように「なぜ」を突きつめることは、これから仕事をするうえでも、家庭を築くときでも、きっと役立つだろうと思います。インタビュー調査、フィールド調査、アンケート分析を通して、自分で体を動かしてはじめて実感できたことです。もし社会調査を勉強していなかったら、こうした「なぜ」の大切さに気づかなかったかもしれません。